この疫禍においてすっかり本を読む集中力を欠かれた。
時間はありそうなのに読めない。
本を開いてみてもわくわくする気分や好奇心のような物がそがれている。
開いてはぱたりと本を閉じて、ふぅと一息。
ため息交じりとは言いたくないけれどおそらく吐き出された息はため息みたいなもの。
開いては閉じを繰り返してときどきエンジンをかけてくれるのはカルミネ・アバーテの本。
アバーテの小説の主人公を取り巻く背景は似ているのに、飽くことなく読んでいる。
はたしてこれが一般的なイタリアを感じことができる小説かというときっとそうではなく、
そもそも一般的なイタリアとは、という問いは置いておいて、
おそらくあまり観光でも知られていないイタリアのつま先から土踏まずあたりのカラブリアが舞台となっているということ、
そしてそこにはイタリア語とは異なる言語を話すコミュニティであるアルバレシュの文化があるという、まだ知らないイタリアへの探究心が満たされるという本でのイタリアの旅である。
カルミネ・アバーテの小説は物語の伏線がわかりやすいので伏線とおぼしき箇所に出会ったあとに自分が思い描いた物語の答え合わせをするかのようにページをめくるのであれよあれよという間に読み進んで行ってしまう。
|今回の本|
カルミネ・アバーテ
帰郷の祭り
La Festa del ritorno
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