イタリア旅の振り返り #3

イタリア旅の振り返り #2 より

20時過ぎにローマのテルミニ駅を発ち、ウェルカムドリンクなどが提供され楽しそうな旅が始まると思いきや、
列車はなかなかの揺れで、ウェルカムドリンクとして頂いたスプマンテも飲む気持ちにはならない揺れ具合です。
テルミニ駅で調達したパスタも列車が動いている間は口にする気持ちにはなれず、ナポリ駅停車中に口にする程度でした。

走行中、突然カーテンが激しくひらひらして、列車の走行音がけたたましくなり、何事かと思えば、窓の上部の内倒し窓が勝手に開いており、激しい風が入ってくるようです。
窓のツメがかなり摩耗しているようで、閉めては勝手に開き、また閉めてはの繰り返しでした。

洗面室は寝台とは区切られており、シャワーブースもついている寝台車を選びました。
デザイン性の高い素敵な透明のシリンダーのシャワーブース。
お湯の量も温度も勢いも問題はありません。
ところが、が、が。

シャワーブースを出ようとすると透明のブースの向こうに見える、こころなしかぷかぷか浮いたような
アメニティのタオル地スリッパが見えるではありませんか。
なんとなくいやな予感がしてブース越しに凝視するとやはり浮いているよう。
そう、洒落た排水口の排水がよくなく、ブースから洗面室に水がほとんど流れ出ていたのです。
湯量がよいのが裏目に出ました。
あわててタオルで土手をつくって防衛して、洗面室の扉をとりあえず開けると、ちょうど電車の傾きが変わり
土手を越えて水がコンパートメントへ大波のようにざっぱーん、と流れてゆきました。

呆然と眺めている余裕はありません。
床に置いてあったカメラバッグなどをあわてて避難です。

イタリア半島の甲の辺りで夜中に床を拭く自分の姿。なぜこんなことに。
そうだ、こういうことにあと十数年後には耐えられないだろうからと、今回この旅を決行したのでした。
ある意味織り込み済みの惨事かな。

惨事の後はいよいよお待ちかねの車輌ごとフェリーへ乗船です。
暗闇の中列車はフェリーに飲み込まれていきます。

フェリーでは下車することができ、デッキからはシチリアが見えてきます。

イタリア旅d3
フェリーのデッキからシチリアが見えてきます

ものすごい揺れで眠ったのかどうかもわからず、タオルミーナを通る頃にはピンクに染まったイオニア海が開けてきます。
海は廊下からの眺めになります。

終着駅シラクーサに近づくとフラミンゴや牛が車窓からを眺めることができ、その一方で石油精製所がしばらく続くことに驚きでした。
この美しい海に向かって巨大な石油精製所が何件も果てしなく続くのです。
プラントのパイプの色でESSO、AGIPとなんとなく見分けがつきました。

後に地図で確認するとやはりESSO、AGIPでした。

そして朝9時、終点シラクーサに到着です。

オルティージャ島にいってオレンジのスプレムータを飲んでようやく外の空気を大きく吸うことができた感じでした。

夏のような光でした。

つづく

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