数年前の夏ですが、エンポリにあるガラス博物館に行ってみました。
トスカーナはあまり詳しくありませんが、たまにトスカーナの蚤の市をまわると必ずといっていいほど出会うのがエンポリのガラス。
イタリアでガラスというとヴェネツィアがうかびますがヴェネツィアのそれとは違った位置でのガラス産業がエンポリにはあったようです。
今ではエンポリのガラス産業も衰退してしまったようです。
エンポリという街はフィレンツェとピサを結ぶローカル鉄道の沿線にあります。このローカル線沿線にはおもしろい場所が他にもあり、また改めて紹介できたらと思います。
この、改めて、で改めて書いた記憶があまりないので、やはり熱いうちにいろいろ書き留めておくのがよいようです….
鉄道を使ってレオナルド・ダ・ヴィンチの生家に行ったことがある方はエンポリ駅を使ったことがあるのではないでしょうか。
ガラス博物館 エンポリ
ガラス博物館の資料によると、博物館は1365年には作られていたという製塩所の敷地内にあるそうです。
製塩所時代には水車もあり、それは近くを流れるアルノ川を使ってヴォルテッラの塩田から製塩所に運ばれ、そしてフィレンツェなどに塩が供給されていたそうです。
博物館から見えたレンガの煙突はどの時代の煙突なのでしょう。
博物館の中に入ると、現代のガラス作家の作品が出迎えてくれます。そして、エンポリ界隈のガラスの材料と歴史、どのようなものを作ってきたかを紹介しています。
蚤の市でも見かけることがある大きなフラスコ。
風船をふくらませたような形がいいですね。
吹きガラスなので、まさに風船をふくらませる要領でつくられているわけです。
色の不均一さ、ゆがみ、どれも個性でよいです。
1950年代中頃になると、型が登場したようです。
イタリアの経済も右肩上がりで、いろいろな飲み物も登場して、ボトルの色もメーカーからの要請で透明になっていくそうです。
確かにオレンジジュースは緑の瓶にはいっているより、透明の瓶に入っている方が、よりオレンジジュースを感じることができますよね。
早く大量に作ることができるけれど、フォルムのあじわいのようなものはなくなっていってしまう時代に突入していってしまうわけです。
電線のための碍子なども緑。
工業生産時代を物語るボトルデザインのための木のモデルも並んでいました。
ここまでくると、エンポリという街のガラス産業の終焉に近づいてくる感じでやや寂しい感が。
イタリアでは日本ほどペットボトルの飲料が種類の多様性、という意味で出回っていないような気がします。
それがせめてもの救い。
個人的にはペットボトル飲料が味気なくてあまり好きではありません。
毎日のように緑のペットボトルのサンペッレグリーノの炭酸水にお世話にはなっていますが飲食店ではガラスのボトルの炭酸水がでてくるのが救いです。
ガラス博物館 エンポリ
開館日:火 ~日曜日 10:00 – 18:00
入場料 :5ユーロ
Empoli, Via Cosimo Ridolfi, 70
コジモ・リドルフィ通り 70番 エンポリ