毎度のことで今回も滑り込みに近い感じで展覧会へ。
お目当ての展示は東京都庭園美術館で開催中の「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」。
3月の初めから開催しているのにこの時期になってしまうんですねぇ。どうしてでしょう。いつもこうです。
学生時代は課題はぎりぎりまで手を着けない、というか着けられないタイプ。
さておき、詳細は知ることなくドイツのグラフィックデザインということで行ってみたわけですが、デュッセルドルフのデザイン事務所のコレクションで、よくよく見れば西ドイツ、とありました。
鑑賞後、では東ドイツはどんな体系なんだろうとそちらに興味がわきました。
ずいぶんと前ですがベルリンに行った際、個人的には旧東側の雰囲気の方が好みの記憶があるからです。
東西の壁崩壊後10年後くらいのころでしたが、場所によっては思ったより英語も通じず、旧東側のかなりの人が東西統一に違和感があるという記事を確か当時イタリアの新聞で読みました。他の媒体かもしれません。
そして旧西側が建築ラッシュで浮かれていた頃、東側はまだ緊張感があり、なんとなくウェルカムな雰囲気ではないやりとりがあったこともありました。
と、話は昔話になってしまいましたが、デザイン事務所のコレクターでもあるイェンス・ミュラーによると、私たちのステレオタイプ的な西ドイツといえばバウハウス、だけではないところを紹介したかったようです。流れの中で避けて通れないところではあるようですが。
閉場間近ではありますが、美しい建物の中での展示はいつもよい時間を過ごすことができる庭園美術館です。
次回の展覧会は建物公開です。
せっかく多摩川を渡ってきたので、東京ステーションギャラリーでも見たい展示があったのですが、できるだけ一日一展示を決めているため、そちらはまだ会期に余裕もあるので次回へ。
気持ちのよい日だったので目黒の反対側、山手通り方面へ散歩していると「遥かなるイタリア 川村清雄と寺崎武男」と書かれたポスターに道端で出会ってしまいました。
一日一展示を決めていると言ったばかり。それは先に見た展示の余韻が消えてしまうから。
けれど会期は6月8日まで。それまでに目黒までは来ることはなさそうなので、えい!見てしまえ!と山手通りを中目黒方面に行き、目黒区美術館も訪れてしまいました。
ああ、かっこいい西ドイツのグラフィックがイタリアの風景に上書きされてしまいました。ドイツデイだったのに一日の終わりは毎度おなじみのイタリアになってしましました。
二人の日本の画家の名前と作品が結びつかず、おそらく知らなかったのですが、とてもよい展示でした。
二人の画家はどちらもヴェネツィアで絵画を研鑽するのですが、その時代は隔たりがあります。
二つの大きな世界大戦の間に日本人がイタリアにいてあのようなきれいな色彩の絵を描いた驚き。
当国ですら戦時中は出版物の色が少なかったり、デザインが暗かったりするのに、6枚屏風の明るいやさしいサンピエトロ広場とヴェネツィアのドゥカーレ宮殿の絵には驚かされました。
天正遣欧少年使節がヴァチカン訪問するシーンの絵ですが、当時サンピエトロ寺院のクーポラが完成していたかは不明です。
また、戦時中ムッソリーニの時代に福島県に古代の柱の像が贈られて今日も残っているという事はどこかで聞きかじったのですが、それが今回の展示の画家のひとり寺崎武男に贈られたということを知ることができました。
1930年という、イタリアも大変だった時代に日本の芸術を紹介する展示がローマで開催され、それに尽力したのが寺崎で、その功労を称えてとのことだそうです。
そしてその柱の上部の鷲のデザインがドゥイリオ・カンベロッティということでカンベロッティの作品が日本にあることも知ることができました。
寺崎の旅のスケッチ帳の中に小さなメモ帳を見つけては、当店で扱ってるヴィンテージストックのメモ!とか
寺崎が受け取ったポストカードが、当店で扱ってるローマの絵葉書!とか違う部分でもテンションがあがってしまい、
「遙かなるイタリア」というくすぐられるタイトルで、本日のメインイベントであるはずであった西ドイツのグラフィックが遠くへいってしまったようです。









こちらは図録を購入したので、そちらでじっくりおさらいしようと思います。

遥かなるイタリア 川村清雄と寺崎武男
目黒区美術館会期:2025年4月19日(土)から2025年6月8日(日)
時間10:00〜18:00(入館は17:30まで)休館日月曜日
観覧料一般 900(700)円
大高生・65歳以上 700(550)円
中学生以下 無料

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